ドストエフスキー魂の作品。
”カラマーゾフの兄弟”を、最高傑作としたい気もあるが、ここでは、こちらを推したい。
ドストエフスキーというと、難しくて、自分などには、読めないだろう・・・と、敬遠している向きには、推理小説として、読むのをお薦めする。
この作品は、推理小説としても、十分鑑賞に堪えうるのだ。
ところで、断っておいたほうがいいと思うのは、この作品方は、決して、さわやかな感動は得られない。
どーんと、でっかい余韻が残ると言った感じの終わり方をする。
”罪と罰”は、これでもかと言った具合に、人の醜さを描き出している。この作品のよさは、人間を捉える、作者の眼力にある。こういう作品にまさに共感する人こそ、一流の人間であると、私は考える。
主人公ラスコーリニコフを、あなたは、どんな人間と捉えることが出来るだろうか?また、そのほかの人物についても、”いい奴、悪い奴”と、捕らえられないだろう。
人間とは、そういうものであると、この小説との出会いをきっかけに、学ばされた記憶がある。
この、物語を通じて、主人公が、何を掴むのか、良く、見守って欲しい。・・・いや、あえて、書いておこう。・・・主人公は、実は、何も掴めないないのだ。彼は、残念ながら、未完成で、歪んだ人格のまま、なのだ。
この主人公の、成長の、物語は、小説の終わった後から始まるのだ。
そういう意味では、この作品は、未完であるとも言えなくもない。作家が、悩みぬいたうえに、悩んだまま終わった作品である。
だから、ドストエフスキー魂の作品、と私は呼ぶ。
この作品の後、ドストエフスキーの悩みは、次第に解決されていき、”カラマーゾフの兄弟”に、完成を見ることが出来る。

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