歌集 あーちゃんの詩
2006年 冬
君の顔は 忘れていたれども 今 見れば よき女なり こんど口説かん
口説く間の 無かりしことを恨めども 運命かなと 其を楽しまん
アパートの ペンキ塗りかえ した後に 自宅の門を 構えし大屋
プラモデル 買うかのごとき 気安さよ 一億の屋の 千万の門
新しき 女を得んと 英会話 カフェーに行けば 講師おるのみ
ぎこちなき 会話となりて 1時間 くたびれ果てて 木枯らしぞ吹く
あーちゃん登場
帰ろうと するたび やだと せがまれて 飯屋ですごす 1時間半
あーちゃんは 可愛けれども そのママと エッチするのは きびしくもあり
プレゼント 捜し歩けばデパートの 真の楽しさ 今日にぞ思う
旧友に出会った。
君はもう 燃えてないよと 言う友に 何も答えず 笑む我のあり
また、一人、かの店へ行く。
6時より 10分すぎて来て見れば あーちゃん手を振り 我を待つかも
あーちゃんとこの忘年会
女子高生 夜中すぎても まだ歌い 我くたびれて 寝にはいるかも
2007年
賽銭を 優しき巫女と楽しげに 集める禰宜の 何をか思う
この女が 妻だったなら この人も 幸せだったと 我もが思う
500円 女子高生に お年玉 意外にはしゃぎて 照れ笑いする
再び英会話カフェに行き、女のコとメルアドを交換した。
かわいくも なきコなれども 今日もまだ メール来ずして 寂しくもあり
同級会
美しき 人はたれぞや 文集の 写真に見ゆる 人ぞ美し
先生の 写真 貰いて 恋人が 部屋にいるよな 切ない気持ち
不本意な生活
昆虫を 食らう悪夢に悩めども 今日この頃の 暮らし幸福
ひざに乗り 腕につかまり あーちゃんが ママに怒られ 大泣きしてる
あーちゃんと 仲が良すぎて そのママが ジェラシーしている 人間関係
あーちゃんが、最近、いない。
あーちゃんは 何処へ行った? と訊けなくて 寂しいなぁと ひとり食う飯
あーちゃんの 卒園しちゃった 保育園 今日も園児の 賑わい ゆたか
子の背丈 自分を越えて 泣く母の 思いを寄せて 見る保育園
曇天の 風吹く春に 咲く花の そぞろさむさを いかで 愛でらん
ダイソーの 百円スリッパ繕えば これも楽しき 貧乏生活
子ツバメ等 激しくなきて 餌ねだる 親ハリキリて 狩にいくかな
あーちゃんの 店に土産を 持ち込めば 親鳥かなと 思う このごろ
かの女 顔の調子の よき日なれば 腰の辺りも 可愛く見ゆる
器量よし も少し性格 よければと 口説くことなど 思い描かむ
君いつも 似たような服ばかりねと 指摘したれば 嬉びもする
あーちゃんの しつけはするなという女 われ戸惑いて 言葉も出でぬ
一言が 日を追うごとに 憎しみの 火を吹き上げて 魔物となりぬ
かの女 つまらぬ男と 楽しげに 喋りおるこそ 面白くなし
別な女
久々に 出合いてみれば 君はもう 他人のごとき 微笑を見せ
チラとだけ みるが如きの君なれば 以前にもまし 洗練されて
黒目がち ミステリアスな表情が 初恋の人に 似てると気づき
あーちゃんの 店に帰れば かの女 洗練されて いないと思う
ダメ女 情けかければ ますますに ダメな女と なりてゆくかな
あーちゃんをいい子にしたい。
叱りても お願いしても わがままを 言って喚きて どうにもならず
「 お前とは 絶交だよ 」 と言い放ち 無視続ければ 効き目のありや?
帰りがけ 「 帰っちゃいやだ 」 と あーちゃんが すがりたれども 振り向きもせず
次の日
「 昨日のは 喧嘩だよね 」 と 真っ先に 確認をする 不安げな声
「 そうだよ 」 と 答えてやれば ニッコリと 微笑み浮かべ 隣に座る
それから
無視作戦 効を奏せり あーちゃんは ここ一週間 良い子なりけり
若かったころの気分に返って都会へ遊びに行った。
新しき ナンパの台詞 考えて 街へ繰り出す ことこそ愉し
十八歳の時に東京へ出たので名古屋の街は二十年ぶりかもしれない。
あのころの名古屋はまだ都会と言う雰囲気ではなかった。
本当に変わったものだ。
ツインタワー マリオンよりも聳え立ち ここは街ぞと 言うに爽やか
女子高生がやってきた。
「すいません。何時ですか?」 と尋ねれば 処女嬉びて 携帯だしぬ
「ナンパされた ことは有るか?」 とからかえば また嬉びて ナンパか?と訊く
私はホルモン系の病気になってしまっている。これ以上は無理。年だし。
潔くリリースする。
去ってゆく女子高生は、水にきらめく稚魚のように輝いて見えた。
梅雨明けの 乙女心の 嬉しさよ 空の大きな 名古屋の街の
はかなくも 時は疾く行く 三十路すぎ ティーンエイジは 雲のかなたへ
行きつけの店に一人、可愛い女子高生がいて
性格も良くて、魅力いっぱいのコだった。
でも、受験のためにやめてしまった。
私のことを気に入ってくれていたようだが
大分、経ったので町で遇っても無視かなぁ・・・
だったら、悲しいなぁと思っていたら
自転車を こぐ女子高生 我を見て 嬉しげに手を 振る 速さかな
ハハ良かったね。
道こわし 車はこわし あーちゃんが 我を見つけて 追いかけてくる
「 おじさんの 車をよく 見つけたね 」 まずは一回 褒めてはあげる
赤い車 見ても飛び出し ダメだよと 瞳みつめて よく言い聞かす
八月も二十日になった
夏風を うけて あらわな 金色の 豹の如くな 乙女の体
夏の間は手塚治虫に嵌ることにしている。
手塚全集は三百巻もあるので
ひと夏に三十巻読んでも十年分もある。
盆あけて 樹園に おしいつくの 声聞かば 図書館に通う 夏は終わりぬ
この夏の 続きはいかぞ 寂しくも つくつくおーしの 声の響きて
入道雲よ いついつまでも 夏こそは 人の生命の 金色の時
ある日の さくらや
ちょうどママ外に出ていて居なかった。
たまねぎの 味噌汁一つ 作れない 女子高生の アルバイトのコ
たまねぎは 薄さと 量と 煮込み方 風味に涙す こと知れ乙女
女子高生に かまえば あーちゃん ジェラシーで 「ニンジンちょっと切ってよ 」 と言う
あーちゃんの 作れる料理は ニンジンを 擂って ちくわと マヨネーズあえ
「この料理 見ちゃーいかん 」 と言いながら ニンジンを擂る 音まる聞こえ
「 マヨネーズ ちょっとにして 」 と言っとけば オオ、これまさに 我好みの味
食後 あーちゃんにいつものをねだられる
お話を 聞かせてもらうのが 大好きで ネタのつきたる この二、三日
アトムから 短編一つ 聞かせれば 「直ぐ終わるのじゃ 聞きごたえがない 」
じゃ、どうだと 言わんばかりに 長々と 海のトリトン 一話から五話
やっと開放された
夏の間は全く音楽を聴く気がしない。
秋めけば アッと言う間に 出来上がる エンクロージャー 仕上げまでして
育てたる 四羽を連れて 六羽して つばくら行くや 秋空の果て
晩秋の朝
小学生の 列を見つけて あーちゃんが 居ないものかと さがしてみたり
しょぼくれて 地面見つめて 歩く子の 可愛い姿 大きなかばん
前の列 一人はなれて 小さな子 少し後ろに 数人の子等
昼。昼飯を食いに行った。
生理痛 客に 八つ当たる ばか女 あーちゃんこのごろ さぞ辛かろう
いや、本当に生理痛かどうか知らんけど。
頭にきたので、その夜も次の日の昼も別の飯屋に食いに行った・・・夜、二日ぶりに行ってみると、とても態度がよかった。胸もいつもより立派に見える。サービスで大き目のパットを入れたのか・・・
珍しく ブタ汁ありて 笑む我に 愛想もよく 謝る女
去年の冬に私がブタ汁が食いたいと言ったのを覚えていて、それを作って待っていたのだろう。
以前は憎まれ口たたいて、でかい顔していたのだから、まぁフォローするようになったのは大きな進歩だ。
このくらい 人がよければ いつまでも セクシーなのにと 嘆いてもみる
でも、向こうは私を手玉に取ったつもりで哂っているかも知れない。くわばらくわばら。
仕事関係で毎月、ちょっとした山間に行く。誰も通らない道でコーヒーを飲みながら時間調整。
初冬も ほんの初冬 ひや風に コスモス揺れる アイシンの丘
突然、長歌を詠んでみた。
この世界
涙するほど
美しき
ものとは知りつ
コンタクト
レンズは合わず
メガネをば
耳にかければ
美しさ
そこなうものと
女たち
はずせはずせと言い募りけり
美しき
ものを見たれば
人は皆
慰めを得て喜びて
メガネかけぬも
世の中に
良き事かなと二十年
メガネする
時来るらし
わが姿
衰え見えて
女たち
もう喜ばぬ
美しき
ものの世界へ
これよりは
浸りてゆかん 光うけつつ
最近、あーちゃんの店に、ひなちゃんと、はるちゃんの姉妹が、よく遊びにくるようになった。
ひなちゃんは、あーちゃんと同じ小学1年生。はるちゃんは2年生。
「 あ、きた。 」 と はるちゃん ひなちゃん はしゃぎたて 我も少しく うれしくなりぬ
モンスター お絵かき対決 楽しくて ジャンケンすらも 声高らかに
パンチ 蹴り 角でつかれて 血だらけで わがモンスター 目が×となる
私が考案した、モンスターお絵かき対決で遊んだ。それぞれ、モンスターを描き、ジャンケンで買った者が任意の相手のモンスターに絵で攻撃をするゲームだ。凝って描けば描くほど、やられた時に悔しくて盛り上がる。
我がとなりに ひなちゃん居つきて あーちゃんが チョット寂しげ 向かい側席
年が明けて2008年となった。
今年でまた一つ年を食う……
人生の 終着駅が 目に見えて モーター加速を 止めにけるかな
人生の 終わりが見えし はかなさは 悩めど悩めど ただ立ち尽くすのみ
二月になった
ヒーターを とめても温き 如月の 夕日に鳴らす ステレオの佳し
次の日
ジャズ聴けば オゾンホールか 如月の 日はキリキリと 肌をさすなり
冬過ぎて 夏きにけらし 白シャツに サングラスして 海へ出かけん
この夏は ビキニ撮らんと 海みれば 海苔ばかりにて ときめきも失せ
ときめきは 瞼に浮かぶ ビキニかな 我いかな顔して シャッター押すや
家に帰った
遊園地に 来たかの如く アパートの ベランダ愉快 二月の日差し
窓際に 椅子引き寄せて ジャズ聴けば 今日も手すりに 夕日が沈む
2月13日
子供用 チョコ製作器 もちだして 得意気にしてる バレンタイン・イブ
「 あんたには あげんよ。 」 と言いつつ チョコレート 一緒に作る バレンタイン・イブ
子供用で 熱くならなくて チョコレート 持たずに帰る バレンタイン・イブ
甘い日が ずーっと続けば いいなぁと 思う今日の日 バレンタイン・イブ
数日後
「 あーちゃんに かまっちゃいかん 」 と かの女 ジェラシーむきだし 我に噛み付く
アドバイス すれば腹たて ストレスを ぶつけるレベル 相も変わらず
「 あーちゃんの ママはあーちゃんが 大好きだから 俺とはしゃげば やきもきもする 」
「あーちゃんは ママの気持ちが わかった 」 と あーちゃん言えば ママうれし泣き
バカ女 なれど人の 心ありて 傷つけもせば 傷つきもする
あーちゃんが 良いこになりし うれしさは 脱貧乏より なおも安らか
長い間、貧乏に耐えてきた甲斐あって、今の自分は既に貧乏ではないと言えば言えるようになった。いつまでも、金がない金がないと言っていてはいけないと思う。だから、この歌集は、このあたりで区切りにすることにする。
初めてあったころのあーちゃんは超可愛かったけれど、超わがままでもあった。このまま大人になったら幸せになりようがないと、本当に心配だった。私の努力の成果か、児童クラブの方々が優秀だったのか、あーちゃんは良い子になった。
ただ、ママは相変わらずである。ママを良い人間にするのはとても難しいが、これからも、その努力は続けていかなくてはと思う。
2008年 2月
あーちゃんに 呼び止められて あーちゃんを 見ればウキウキ 春風をうけ
一年生は もうすぐおわり あーちゃんの 髪はツヤツヤ 春風をうけ
あーちゃんの 店に入れば かのおんな 宿題やれと 怒鳴りつけたり
仕事関係の旅行で安土桃山文化村へ行ってきた。
とにかく、あーちゃんへのお土産を探した。にゃんまげのぬいぐるみにした。イマイチ、可愛いのか、きもいのか微妙である。
今日、あーちゃんに、にゃんまげをあげると、お礼に、財布に入れる絵を描いてくれた。
それから、あーちゃんと一緒に、にゃんまげに着せる服を紙で作った。
飯食って店を出て10メートルくらい歩いていると、あーちゃんが店を出てきて
にゃんまげを あたまにのせて ありがとう あーちゃん跳ねつつ 我に叫べり
児童クラブの話をすると、あーちゃんは途端に暗い表情を浮かべた。
