倒錯
坂本(25歳 男性)は、インターネットで、いつも行くサイトで暴れまわっている、いわゆる”荒し”に悩まされていた。
そのサイト
”漫画家養成サイト”
は、その名の通り、漫画家を目指している人のためのサイトで
掲示板
シナリオ投稿板
絵投稿板
などから成り立っていた。
坂本はそのサイとでは”木戸”というHNを使っていた。
こういうアマチュアによるストーリー投稿サイトとして、”漫画家養成サイト”は非常に価値がある・・・と坂本は考えていた。多くのサイトではお互いの投稿作をけなしあい、足を引っ張り合っているのに対し、このサイトでは、そういったマイナス行為が少なかった。若い人の多いこのサイトは珍しく健全だった。
坂本は、自分もこのサイトに参加し、サイトを盛り上げ、荒しから守り、自分のデビューに繋げようとして、取り組んでいた。
問題の”荒し”は”レオ”と名乗っていた。
彼は、やたら他人を誹謗中傷したり、乱暴な口を利いたり、無意味な文字列を大量に送信して掲示板をいっぱいにしたり・・・・悪質な嫌がらせを常習していたが、中でも特に”木戸”を攻撃対象にしていた。
”木戸”が一言でも口を利くと必ず誹謗してきた。
「前に、シナリオ投稿板に投稿されてきた作品をボロカスに批評してしまったことが有ったけど・・・彼が”レオ”では・・・?」
坂本はそんな気がしていた。
しかしインターネットを始めたばかりなせいか、坂本は”レオ”の対処に悩んだ。
坂本はストレートな性格で何でも直球勝負するタチだった。
「くそう・・・生身の体なら一対一であっという間に決着をつけてやるのに・・・」
坂本が、もっとも悩んだのは、”レオ”をやっつけようとしても、必ず”レオ”の味方をする奴がいることだった。
坂本は私生活では人に好かれた。
彼の敵になるヤツは常にみんなの敵だった。
嫌な奴がいるところでは、いつもみんなが坂本に頼ってきた。
自分は嫌なやつからしか攻撃されない。
・・・それは絶対に崩れない坂本の行動定理だった。
彼は何処へいっても一人で大勢を敵に回すという経験はなかった。
嫌なやつっていうのはそう沢山いるものじゃない。
ところがここでは、”レオ”の味方がいっぱいいた。
”タイガー” ”でこ” ”一反木綿” ”無冠” ”ゴロ” ”F・D・R” ”めだか”・・・大勢から攻撃されると、とてつもなく不利で、悲しくなった。
インターネットのサイトとはこういうところなのか・・・?
また、”二刀流”というHNがいた。”レオ”の攻撃をまともに受けて喧嘩しては、コテンパンにやられていた。それでも強気でいつも”レオ”とやりあっていた。
坂本は思った・・・屈折した奴らがタンをかけ合ってるような・・・。
ある日、坂本がいつものようにサイトに行くと”レオ”が”F・D・R”を攻撃していた。
”レオ”いわく
・・・”F・D・R”は”無冠”と同じヤツによる複数HNだ・・・と。
IPが同じなのですぐわかるのだと馬鹿にしていた。
”木戸”は”無冠”からも常に個人攻撃されていた。また”F・D・R”からも何かと突っかかられていた。
”レオ”が、二人を同一人物だと攻撃しているのを見て、坂本は
「あ、やっぱりな。」と思った。
嫌なやつはそんな大勢いるわけじゃない。
ほんの一部の奴らが、複数のHNを使って、この価値あるサイトをメチャメチャにしようとしてやっているのに違いない。
いい人達もたくさんいる。
「しかし、待てよ・・・すると・・このいい人達なんかも、悪人が使い分けている複数HNかもしれないわけか・・・?」
それで、坂本は、ほかの人物たちの事も疑って見ることにした。。
「HNを人物と考えればの話だが・・・」
坂本は一人、皮肉に笑った。
「自分は嫌なヤツからしか攻撃されない。」
それが、ネットの世界でも通用しているとすると・・・
・・・誰と誰が同一人物による複数HNか?
・・・誰と誰が仲がよいか、悪いか?
・・・スレで述べられている言葉は本心か皮肉か?
「疑いの塊になって、あれこれと推理しながらスレを読む・・・こういうことをしていると、その内、人間不信に陥るんじゃないだろうか・・・?」
・・・と思いつつも、もはや坂本には、自分の中から生じてくる様々な疑惑が止められなかった。
ある日・・・
”レオ”が”二刀流”を攻撃していた。
”二刀流”が串を使ってIPをかえ、他人のふりをしてスレを立てまくっているといって暴露して喜んでいた。
実に新規スレの7割が”二刀流”によるものだと判明した。
坂本は思った。
「・・・とすると、このサイトには実はそれほど大勢来ているわけじゃないかもしれない・・・・”二刀流”はサイトを盛り上げようとして、涙ぐましい努力をしているのかもしれない。・・・何故?・・・」
またある日・・・
坂本は自分が投稿したシナリオ”落とし穴の振り子”が消されているのを発見した。
3ヶ月ほど前、シナリオ批評板に投稿したシナリオだ。
何故?・・・坂本は合点がいかなかった。
悔しくも有った。
そのシナリオは自信作でみんなから絶賛されていた。
坂本はこの板に投稿された作品がいつかどこかのプロデューサーの目に留まるかもしれないと、密かに期待していた。
「・・・何らかの規定違反ならば、投稿したときに消されたはずだ。何故、いまさら!」
・・・シナリオ投稿板では古いものほど、下の方に掲示が回されていく・・・坂本の投稿した”落とし穴の振り子”は、その、最も下の方・・・ほうっておいても、あと一週間ほどで消されてしまうところに有った。
「何故、今頃消されるんだ・・・?・・・大体、あのシナリオは消される理由がない・・・ごく普通のスリラーで・・・害のないものだったはずだ・・・」
坂本は、何者かの悪意を激しく感じた。自分の加熱した頭を冷やすのに3日を費やした
3日後・・・坂本は混乱をまとめてみた・・・・
何故、”レオ”は”木戸”(俺)を個人攻撃してくるのか?
何故、”嫌なやつ”が、大勢いるのか?
何故、”二刀流”は、サイトを盛り上げる為に涙ぐましい努力をしているのか?
何故、”木戸”のシナリオ”落とし穴の振り子”は今頃になって消されたのか?
そして、もうひとつ。
何故”レオ”は、あれほど荒しまくっているのにアクセス禁止にならないのか?
坂本は、これらの事実から、ひとつの推論を組み立てた。
それは、これらの疑問を合理的に説明するのに極めて自然な推理だった。
直情型の坂本はそれを掲示板で思いっきり相手たちにぶつけたかった。
「おい、レオ!お前の正体は・・・」
という感じで。
「俺を攻撃している奴らがどんなに喚こうと、この推理が間違っていると証明することはできない・・・。」
しかし、同時に坂本はそれができないことも知っていた。
「憶測で物を言って、みんなを誹謗している。」
と、言われたら、それまでだからだ。
例え自分の推理が当たっていたとしても、逆に自分の立場が最悪になる。
下手をするとアクセス禁止にされてしまうかもしれない・・・。
「まずいよなぁ・・・やっぱり・・・」
坂本は、考えに考えた。
そして、ひとつの妙案に辿り着いた・・・・・・。
× × × × ×
”レオ”は少年ではなかった。
彼女は生まれつき大変激しやすい性格だった。
ちょっとした事で激しくダダをこね、あやしようもなくなる子だった。
彼女は物語の主人公のように、あるいは王女のように常に自分が中心で、他人から注目と尊敬を集めていなければ気がすまなかった。
普通こういう子も、親の絶え間ない努力によって段々聞き分けのある子になるものだが、その少女・・・佐藤洋子は大きくなるに従いその度を増し、軽い精神病の様相を呈するに至った。
小学6年生にして既に洋子は事件さえ起こした。
中学・・チョッと気に入らないことがあると、梃子でも引かず、怒ったり泣いたりして、どうしても自分の思い通りにいかないと済まなかった。
自分から、クラス委員長に立候補してクラスを引っ掻き回した。
自分の意見が誰か批判されたりすると、いつまでも根に持ち、陰湿な方法で復讐をした。
そんな彼女を心底心配しているのが、母親だった。
同じように弟の康成も姉の将来を心配していた。
康成はとても素直な少年だった。
母親からしてみれば同じように育てたのに何故、洋子はこんな性格になったのか・・・・どうしても分からなかった。
洋子が高校生になると母親は、いよいよカウンセラーの必要を感じ始めた。
洋子は何事も一番でなければ気が済まず、毎日夜中まで勉強して体を壊し入院した。
病院のベッドでは「殺してやる・・」などのうわごとを繰り返し・・・退院すると、もう、勉強が追いつけないと感じたのか急に勉強をやめた。
母親はかえって安心したが、洋子は今度は急に劇太りしはじめた。
体重が100キロを超えると過食症になって激やせした。
彼女の形相はもう、正気の人間のそれでは無くなっていた。
カウンセラーに見せようとすると、自分を気違い扱いにする気かと、それこそ気違いのようになって騒ぐし・・・母親は心配で困り果てていた。
もう、この頃には、母親の話にはまるで耳をかさなくなっていた。
いつからか・・・
洋子は現実と空想が交錯しだした。
いつからか洋子の日記は自分を主人公にした物語のようになっていた。
母親は、それを盗み読みした。
以外にも、洋子の書いた物語?は、あっけらかんとしていて、健全で、ごく普通の女の子が描きそうなものだった。
母親はそこに希望を見出したように感じた。
「もしかして、洋子の不安定な精神は思春期の過渡的なもので、上手くこの時期を乗り越えれば・・・普通の女の子になれるんじゃないだろうか・・・?」
ある日、母親は一計を思いついた。
× × × × ×
洋子は大きな不安と戦っていた。不安と戦うことか逃れようと、彼女は洋菓子などを食べまくっていた。
そして、激しく嘔吐しながら彼女は恐怖するのだ。
自分の複数HNがバレはしないだろうか・・・という。
彼女はPCを複数買い込んだり、プロバイダと複数契約したり・・(この辺のところ作者は詳しくない。)・・あらゆる手を使ってHNを作り出していた。
更に彼女は手の込んだこともした。自分で作ったNHを自分で攻撃した。
レオ おい!”F・D・R”!!・・お前は”無冠”だろう!・・・IP同じだからすぐバレるんだよ!!
という具合に。
また、新しく作り出したHNは、時間をかけて掲示板に浸透させた。なじむまでは、あくまでも善人に徹した。
前のHNがバレそうになる頃だと思ったら、それをつぶして、用意してあった別のHNの発言を増やすようにした。
それでも、彼女は不安だった。複数HNがバレるのは、彼女にとってはとてつもない屈辱だった。
もしバレたら・・・バラしたやつを殺してやる・・・
・・・とさえ思うほど・・・・。
特に”木戸”にはバレたくない。
彼女は以前投稿したシナリオを”木戸”にコテンパンに劇評されたことを根に持っていた。
或いは本能的に”木戸”の才能に嫉妬していたかもしれない。
とにかく彼女は生理的に”木戸”が嫌いだった。
そこで、彼女は弟を利用した。”レオ”のHNで、弟の康成にも書き込みをさせていた。
康成はそんな姉の思惑通り、掲示板で悪態をつくのが嫌だった。
しかし、あまりに激しやすい姉を説得するのは、最早、誰にも不可能だった。仕方なく康成は姉の指示に従った。
洋子は考えた。
「こうすれば、誰でも混乱するはずだ。私の複数HNは絶対見破られない。」
それで洋子=”レオ”は思う存分暴れて気持ちよかった。
これだけ手の込んだことをしておけば、よもや気付く奴はいないだろう。
洋子のしくんだ”仕組み”には誰も気付いてないようだった。
洋子は複数HNの一つを使って”怪人二十面相”を示唆する絵を掲示してみた。(そのサイトでは絵も掲示できた。)
誰も気付かなかった。
皆が「カッコイイ!」
とか「笑い方が不敵!」
とかレスして来るのが可笑しくてしょうがなかった。
”木戸”も撃退できたようだった。
不安から逃れ、いつもの癖で洋菓子を食べながら例のサイトを開いてみると、いなくなっていた”木戸”が再び現れていた。
木戸はシナリオ投稿板に新しいシナリオを投稿してきていた。
それは
”落とし穴の振り子”
と題されていた。
洋子は、その作品をいつものように、くそみそにけなしてやろうとして読んだ・・・。
× × × × ×
ついに母親が留守になった。
嵐の夜だった。
どうしてこんな夜に母親が突然出て行くのか?
狼狽している様子だった。
今、電話で母親を呼び出したのはいったい誰だったのか?
口ぶりがなんとなく官僚っぽかったが・・・
母親は、洋子のいる時間帯には、なぜか家を出ることが滅多になかった。
この機会を利用し・・・
洋子はパソコンには異常に強く、ハッカー行為も可能だった。
洋子は、母親の部屋に忍び込んだ。
母親は何か慌てていて、鍵をかけ忘れたようだ。
それとも何か・・・
パソコンを操作して”木戸”の投稿シナリオ”落とし穴の振り子”を削除した。
性能の高い母親のパソコンでなければ、ハッカーできないからだ。
今度の”木戸”のシナリオ”落とし穴の振り子”は、非常に出来が良かった。
洋子は激しく嫉妬した。
いつも偉そうに洋子の作品を批評してくる”木戸”・・・
の自信作・・・みんなが褒めている・・・を削除する機会を狙っていた。
母親の部屋の合鍵はあらかじめ作ってあったし、パスワードも調べてあった。
なぜか弟、康成がそれを知っていたのだ。
洋子は”木戸”のシナリオを削除した時に奇妙な事実に気がついた。
この、母親のパソコン自体が”漫画家養成サイト”の発信源なのだ。
洋子は、一瞬、なにがなんだか分からなかった。
「おかあさんが、”漫画家養成サイト”の・・・管理人・・・??」
彼女は母親のHNを見た。
それは彼女がいつも馬鹿にして攻撃している”二刀流”だった。
その瞬間、彼女には、母親の意図が全て分かった。
母親は、私のことを狂いかけていると思っている・・・もう、手が負えないものだから、こうしてサイトを盛り上げて・・・
誰か、いい人に私の更生を委ねようとしているのだ。
しかも、”二刀流”らのHNはあえて洋子にからかわれる為の言わば”噛ませ犬”的HNだった。
洋子はそうとも知らず”二刀流”を攻撃して喜んでいたのだった。
それは激しい屈辱だった。
洋子は母親に騙されていたのが激しい屈辱だった。
狂いかけていると思われているのが屈辱だった。
同情されているのが屈辱だった。
教えられているのが屈辱だった。
洋子は母親の複数HNを全て調べてみた。
なんと、ほとんど全ての人物が、母親の創造した複数HNだった。
純粋な利用者は”木戸”を含めて数人しかいなかった。
× × × × ×
坂本の部屋
刑事が部下とやってきている
刑事「インターネット犯罪防止法第・・・の規定に基づき・・・あなたを殺人挑発の罪で逮捕します。」
警察署で・・・刑事達の説明。
西暦2009年1月から、未成年のネット関係犯罪者には新しい概念の執行猶予が与えられるようになった。
それは、執行猶予中にあらゆるサイトでアクセス禁止にならなければ刑を免れるという物だった。
2009年2月。12歳の佐藤洋子は、とあるサイトでトラブルメーカーになっていた。
周りの全員から激しく非難された。
彼女はサイトの中心的人物に、「自分の性格に自分で悩んでいる・・・個人的に相談したい・・・」
と言って、呼び出し・・・殺害した。
2年後、感化院から社会復帰した14歳の洋子にも、この執行猶予が適用され、彼女とその家族のパソコンは法の監視下に置かれていた。
坂本「しかし、それが私と何の関係が・・・」
刑事「洋子が・・・”レオ”といった方がいいかな・・・が・・・新たな殺人を犯したんですよ。」
坂本「私がそれを挑発したと?」
刑事は、一瞬疲れた様子を見せた・・・が、気を取り直すためか、椅子から立ちあがり、坂本の背後に回った。
刑事「調べれば分かるんですよ。・・・インターネットは今や全て警察によって監視されているんです。」
坂本「つまり?」
刑事「あなたは、洋子の私生活をインターネットでばらしたでしょう?どういう接点で彼女の私生活を知ったのか?我々はそこを突き止めてあなたを裁判所に送る予定なのです。」
× × × × ×
洋子の母親は考えた。
自分の作ったサイトを洋子が気に入れば、洋子は・・・たぶん・・・他のサイトには行かない。
洋子がどんなに”荒し”をしても、アクセス禁止にする権限は母親であり、サイトの管理者である自分にある。
だから、洋子は死刑を免れ・・・上手く思春期を乗り越えてくれればきっと・・・
だが、母親は知らなかった・・・あらゆるサイトの管理者が法の名の下に、秘密裏に監視されていることを。
”木戸”の投稿したシナリオ”倒錯の倒錯”はこうした、母親と洋子の関係を推論だててシナリオ化したものだった。
”木戸”の推論はことごとく的中していた。
洋子=”レオ”はその投稿シナリオに激怒し凶暴性を露呈して、サイト仲間達からアクセス禁止要請されまくった。
それでも、母親は”レオ”をアクセス禁止処分にしなかった。
他のHNを使い、必死に”レオ”を庇った。
ある日、母親は司法局から突然の呼び出しを受けた。母親の行動を察知した司法局は、ルール違反としてペナルティーを与えた。
洋子が、母親のパソコンを操作できるような機会を作り、彼女が、真実を知ってどのような行動をとるか監視させること・・・・。
・・そして・・・
20014年。司法局の仕掛けた罠が引き金となって洋子自身の手によって母親は殺害されてしまった。
”木戸”の投稿した”倒錯の倒錯”が、細部に至るまで完璧に事実と一致していた為に、洋子は母親が”木戸”と極めて親密な関係にあると思い込むに至ったのだ。
× × × × ×
結局、坂本が”漫画家養成サイト”以外では洋子と全く接点を持っていなかった事実が証明された。
彼の作品 ”倒錯の倒錯” は、驚くべき推理と想像力と偶然の産物として署内で大いに話題となった。
坂本の裁判所行きはなくなった。
坂本は”レオ”は確実に死刑になるだろうと知らされた。
冬の初め・・・冷たい風が、まだ慣れない肌にしみるような夕方だった。坂本はジーンズの襟を合わせつつ、一人、警察署を振り返った。
・・・・”倒錯の倒錯” は純粋な作品ではなく・・・”レオ”を痛い目にあわせるために俺の憶測を作品に見せかけてぶつけた物だった・・・
・・・痛い目にあわせる為・・・が・・・死刑・・・・・・。
坂本は自分が”倒錯の倒錯”を書いた時のことをもういちど思い起こしてみた。
・・・憶測・・・俺は本当に”レオ”が激しい人格破綻者の少女だと憶測していたのだろうか・・?・・・俺は、やはり単に”レオ”を題材にして作品を書いていたのではないだろうか・・?
しかし、いくら考えても、彼には、自分の当時の心理が上手く思い出せなかった。
「・・・もしかしたら・・・あの時、俺は・・・第二のレオになりかけていたのかもしれない・・・・」
坂本はゾッとする思いがして、足早に警察署を後にした。
終わり
*この物語はフィクションであり実在の人物・団体・サイトなどには一切関係ありません。