DAY BY DAY

ジャンル    半ギャグ文芸作品。



登場人物

浅賀   若い神主さん

奥さん(母親)      浅賀が解体のお払いに行った家の奥さん。
長女           同、長女
次女           同、次女

双子の姉妹       浅賀が、地鎮祭に行った家の子供たち。






アパートの駐車場

20歳くらいの若い神主(浅賀)が羽織袴を来て、車に荷物を積み込んでいる。

傍白「僕は、若い神主さんです。僕くらいの若さで神主をしている人は滅多にいません。儲からないから、やりてがないのです。僕は、親父が病気がちなので仕方なくやってます。」
浅賀、車を運転している。
傍白「この日は、これから、取り壊しのお祓いに行った日です。」


古い家。

浅賀の傍白(以下傍白)「家を壊すときのお祓いです。解体の監督さんから、連絡が来ます。
僕達の収入の半分以上は、解体と地鎮祭の、お初穂料です。だから、監督さんは僕達にとって、とても大切なお客さんです。」

浅賀、コンビニによって缶コーヒーを買う。

傍白「だから、とっても気を使います。」

浅賀、運転しながら、缶コーヒーを飲み干す。空き缶をホルダーへ立てようとするが、既に他のがあって立てられない。
浅賀「んー・・・ま、いっか。」

缶を窓から捨てる。
傍白「でも、この日は大丈夫でした。・・・監督さんは都合でこ来れなかったのです。」


車、とあるボロ屋に着く

傍白「若い神主は不利です。お施主さんは神主と言えば、年寄りと思っているからです。」

ピンポンを鳴らす浅賀
年のころなら37歳くらいの、奥さんが出てくる。
奥さん「え?!(一瞬驚き、次に不愉快そうな顔をする。)・・・あー・・おはようございます・・あんまり若い神主さんで驚いちゃったわ!・・・もしかして、高校生?」
とか、厭味を言われたりします。
浅賀、ペコペコする。
傍白「でも、大丈夫。僕にはもって生まれた美貌がある。」
浅賀のアップ。
なんと言うか、ひと癖のある個性派俳優と言った顔立ち(トム・クルーズ風)


浅賀、神事に使う台なんかを、運び込む。
傍白「それに女は得意だし。」


都会の交差点。

傍白(急に生意気になって)
「ハッキリ言ってナンパが趣味なんだけど・・・僕には女を捜す必要なんてないね。」
浅賀、交差点からちょっとはなれたところで、物憂げに何か考えながらカッコつけてタバコをすっている。
交差点の向こうから歩いてくるギャル。
傍白「見てろ。」
ギャル、かっこいい浅賀のことが目に入り、興味を持つ。交差点をわたりきると、急にキョロキョロする。
そして、あたかも今、初めて浅賀に気づいた様な顔して
ギャル「あの、すいません・・・今、何時ですか?」
浅賀「とか何とか言っちゃってぇ・・・本とは暇なんじゃない?」
ギャル、一瞬、戸惑うが、浅賀がにっと笑いかけると、思わず満面の笑みを浮かべてしまう。

傍白「とかね。」


喫茶店

浅賀、一人、窓際で本を読んでいる。街を歩いているギャル、喫茶店の中にいる浅賀のことが目に留まると、さり気ない素振りで店に入ってくる。ちょっと髪に手をやって、チラッと浅賀に目をやる。目が合う。
傍白「いただきだね・・・でも、本に夢中になってたりすると・・・・」
時計。・・・時間経過。
喫茶店中が、ギャルだらけになっている。
浅賀「あ・・・」
さっきから3時間たっている。さっきのギャルがまだ粘っている。
傍白「なんてことになっちゃうんだな。」


ボロ屋

傍白「だから、気をつけないと、奥さん、すぐその気になちゃったりする・・・。」

奥さんがお供え物にする野菜などを運んでくる。
傍白「ブラジャー外してきちゃったりするから怖いよ。」
奥さん、キッチリブラをしている。
傍白「まじめだなぁ・・・」

さて、これから、超可愛いコがおでましだ。

10歳くらいの超可愛いコ(次女)が出てくる。
浅賀「お嬢さんこんにちは。」
お嬢さん「こんにちは。」
浅賀「あ、じゃぁ、奥さん、今日はお嬢ちゃんに散米をしていただきましょう。お嬢ちゃんに、ご兄弟は?」
奥さん「上に姉がいます。」
浅賀「じゃ、お姉ちゃんには、お塩を撒いていただきます。」
奥さん「あ、でも・・」
浅賀「いいんです。散米とかは、穢れてないと言う意味でお嬢チャンに撒いてもらうのがいいんです。」

傍白「女にもてる僕はちっちゃいコにもモテるのだ。」


ボロ屋

その日、僕は、いつものように女のコ(次女)の話し相手をしてあげた。
浅賀「何年生ですか?」
お嬢さん「(はにかみながら)3年生。」
傍白「小さいコは敬語を使ってあげると喜ぶのだ。」
浅賀、お嬢さんを笑かす。

式の準備が整う。


別室

(肝心なところなので、絵のトーンを変えてください。)

奥さん「さぁ、お前も一緒に、神さまにお願いするんでよ」
長女(13歳)は、身体障害者で、自分では立つこともできない。捨て腐れたような目をして母親を睨む。
長女「やだ。」
奥さん「ちゃんとした体になれるように神様にお祈りするんだよ。」

奥の部屋から、浅賀と次女の笑い声が聞こえてくる。

長女「どうせ、ちゃんとした体なんかになれないもん。」


奥の部屋

浅賀、既に着替えて陰陽師の格好になっている。
浅賀「麗香ちゃんは体操クラブの洋介君が好きなんだー?」
次女、照れ隠しにコタツにもぐる。
そこへ、長女が、奥さんに抱かれてやってくる。
恨めしそうに浅賀を見る。
一目で重度の障害とわかる。
浅賀、一凍りつく。
奥さん「ではお願いします。」
浅賀、気を取り直し
「こんにちわ。」
長女に少し微笑みかける。ぎこちない。
長女「(恨めしそうに・・・)こんにちは・・」

浅賀、慇懃に取り壊しのお祓いを始める。
傍白「・・・僕は、こんにちはを言うのが精一杯だった。」

式の様子。

使われなくなった部屋に妹の麗香が浅賀の指示により、米を静かにまく。
続いて姉が塩をまく・・・・姉は、自分だけではどうしても塩が撒けない。母親が手をかす。塩がドサッとこぼれる。
母親、そのこぼれた塩を拾って、謝りながら、一生懸命心を込めて撒く。
撒いた米に向かって一生懸命、頭を下げている奥さん。

式の様子。

玉串(榊の小枝)を、お供えする場面。
何とか、お姉さんに玉串を持たせようとしてみる浅賀。お姉さんは玉串のお供えが、どうしてもできなくて、代わりに奥さんがする。(玉串を両手で持つ正しい持ち方を母親に教える浅賀。)

式、終わり。

浅賀「これにて、取り壊しのお祓いを終了します。」
傍白「正直、僕は急いで帰りたかった。何か、深刻な悩みを相談されるのが怖かった・・・」

帰りの挨拶をしている浅賀。奥さんと二人だけ。

奥さん「・・・娘は生まれつきああなんですが・・・」
ギクッとする浅賀。
奥さん「・・あの・・・お百度参りとか・・・ああいったのは効果あるのでしょうか・・・?」
浅賀ドギマギして答えられない。
傍白「ある?・・・・あるわけない・・・お百度参りなんて無駄な努力だ・・・」
浅賀「・・・無・・・」
傍白「・・・・しかし、この奥さんには何かすがるのもが必要なんだ・・・」」
浅賀の頭に、娘を背負って神社に通う奥さんの姿が浮かぶ。
浅賀、目が泳ぐ。
じっと浅賀を見詰める奥さん。
浅賀、逃げ出したい衝動に駆られる。
浅賀、考える。冷や汗がだらだら流れる。
浅賀、やっとのことで答える。
「・・・すいません・・・僕にはまだ、わかりません・・・。」

頭を下げる浅賀。
傍白「僕は、なんとなく急いで帰った・・・・。」


車を運転する浅賀。半泣き状態。


とある街中。更地。

竹が四本立っている。

傍白「すぐあとで、地鎮祭をした。」

浅賀の車が付くと、施主の家族と建築工事の監督が迎える。

傍白「超可愛い双子の姉妹がいた。」
五歳くらいの双子の女のコ。
傍白「とても幸せそうな家族だった。」
施主家族とみんなでお供え物を並べたり縄を張ったりする。
浅賀、散米とかの説明を父親にしている。
双子の子供達も一生懸命聞いている。
浅賀「散米の意味は”鬼は外福は内”と、ほとんど同じのもです。」
双子の子供たち盛んに浅賀にじゃれ付く。
地鎮祭始まる。
傍白「あんまり双子が可愛かったので僕は急遽、散米をこの子達にしてもらうことにした。」

敷地の角に来る一同。

浅賀、米と塩を女の子達に渡す。
浅賀「(やさしく)では、少しづつ撒いてください。」
女の子たち、おもっきり大きな声で「鬼はーそとっ!!」
浅賀「あ・・」
慌てて、やめさせようとする・・・が、両親は大喜びしている。
双子達、力いっぱい米、塩を撒く。
「福はーうちっ!!」
傍白「ま、いいか。・・・」

玉串をお供えする場面。
玉串を綿菓子かなんかのように片手で持っている双子。
両親が、両手で持たせようとするのを、浅賀が
「構いませんよ(笑)」
と言っている。
玉串を一本づつ持った双子が凄く可愛い。
傍白「なんて幸せそうな家族だろう・・・」

式終わる。
みんな、それぞれ小さな杯を手にしている。
監督「では、神主さんの発声で乾杯いたします。」
浅賀「(大きな声で)お子様の健康とは、素晴らしい幸せだと思います!!」
傍白「僕は思わず叫んでいた。」
みんな、いっせいに、お神酒を飲む。
家族みんなで拍手して喜ぶ。

車に乗って去り行く浅賀。

施主家族がいつまでも手を振っている。

車の中で、ふぅー・・・と息をつく浅賀。

街中へ消え行く浅賀の車。






                     終わり