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変態と蛇
夏
沖縄
とある有名ビーチ前の駐車場
宮本(20歳)と俊介(20歳)、アイスクリームを食べながら喋っている。
俊介「 縛らなきゃ面白くねーじゃん。」
どうやら二人はセックスの話しをしているらしい。
ノーマルなセックスしかしない宮本に、俊介は”縛り”の魅力を説いている。
宮本「 まぁ、そのくらいなら分からんでもないけど・・・ヘビ使うんだろ?お前?」
俊介「 ヘビはいいぜぇ・・・ナンパしてきた女なんかをな・・・」
俊介の部屋
アパートの一室。
女、(縛られながら)「 なんか変態っぽーい・・・」
俊介、最後に女に猿轡をする。
浴槽の方へいく。
浴槽には土が入っていて、気が植えてあり、その中にでっかいハブが飼ってある。
ふたは手製の木枠にネットを張った物。木枠は真ん中十文字に補強が入っている。
俊介、ふたを開けていとも簡単にハブをつまむとベッドの方へ持ってくる。
恐怖のあまり叫ぼうとする女。猿轡で叫べない。縛られていて逃げれない。
ニヤッ笑う俊介。
宮本の声「 お前、すげー変態だわ。・・・で、その後どうすんだよ?まさかそのヘビを・・・」
俊介の声「 そりゃやばいぜ!いっくら何でも!その後はこう・・・作りもんのやつで・・・ガラガラ蛇のヤツなんか、頭が三角で・・・こう・・」
宮本「(もう、聞いてない)」
元のビーチ
向こうからねーちゃん二人がやってくる。
俊介「 あ、あの女達は?」
宮本「 男と一緒だって!」
女、二人。歩いてきて、俊介に色目を使いつつ通り過ぎていく。
俊介は美しい肉体を持っていて背も高く、女好きのする甘いマスクだ。
俊介「 行くしかねぇって!」
宮本「男と一緒だって!」
女二人、向こうから来た男二人と合流する。
宮本「 ホラな!」
俊介「 あ、ほんとだ。」
俊介、うらめしそうに女の尻を見ている。
俊介「 お前、何でそんなに分かるんだ?」
宮本「 いつものことじゃねぇか。」
宮本と俊介は大学の仲間で、ナンパ仲間でもある。
宮本は頭が良くて、女を口説くのが得意である。しかし、元来面倒くさがり屋で自分ひとりでナンパには行かない。無限性欲の持ち主で、金持ちの息子の俊介が、いつも誘いに来るのである。金があり、ルックスの良い俊介は宮本にとっても貴重なパートナーだ。
俊
介「今年の沖縄も今日で終わり・・・か・・・もう一発ヤッて帰りてー・・・。」
宮本「 いっぱいゲットしたじゃねぇか。」
沖縄 走るスポーツカーの中
宮本はいつも女を一目見れば、ヤレそうかどうか一発で見抜いてしまう。うらやましがる俊介。
宮本「 まぁ・・・要は目つきだな・・・さっきの女の場合、妙にそそる目をしていただろう・・・ホントに男を捜しているときはあんな目つきをしないぜ。女は、ワザときつい目をしたり無視したりするもんさ。逆に男がいるからこそ、あんな大胆な目つきをするのさ。」
俊介「着いた。」
ハブ焼酎の店。
宮本「 お前、毎年ここでハブ買ってんのか?」
俊介「 沖縄生活最後の日にな。」
宮本「 新しいヘビ買って、古いヘビはどうしてんだよ?」
俊介「 捨ててる。」
宮本「 ふーん・・・じゃ、いいか。・・・」
俊介「 こうやって・・・(と、ヘビを逃がす時のしぐさをする。)」
宮本「 って、生きてるじゃねぇか!今にエライことになるぞ!お前!」
俊介「 でも、殺すの残酷だし。」
宮本「 あ、そうか・・・なんだ・・・そうだよな、毒牙とか抜いてあるんだよな。」
俊介「 それじゃ面白くないだろヤッパ!ハブなんだからよ!」
宮本「 お前そのうち、死ぬか殺すかするぞ!」
俊介「 大丈夫だよ、捕まえるこつ掴んでるから。」
宮本「 檻から逃げたりとか・・・」
俊介の部屋
俊介の声にかぶせて、俊介の部屋のカット。
「 大丈夫だって。ちゃんとネットかぶせてあるし、(ネットと補強枠の間に少し隙間がある。)
万一出ても部屋から逃げないように窓とか全部閉めてあるし、(一つしかない窓は閉まっている)
俺、開けたら閉めるの絶対忘れないタチだし。部屋から一瞬でも出るときは絶対カギかけるし、なんかあったときに大家が開けるといけないから、カギ、付け替えてあるんだわ。(古いドアに不釣合いな新しい錠。かかっている。)
合鍵作ってないし。」
宮本「(独白) 無茶苦茶だな・・・こいつ・・・。」
俊介「 もちろんやった女はすぐ帰すし。・・・いつかれないように、ワザと古いアパートに引っ越したんだわ。あと臭いが溜まるといけないから、換気扇は24時間かけっぱなしなんだ・・・栄子は止めろってうるさいけど。」
台所の換気扇は部屋の内側からボルトで固定してある。風呂の換気扇は天井埋め込み型。
宮本の声「 栄子って?」
俊介の声「 同じアパートの女・・・グェヘヘ・・・」
換気扇は両方とも止まっている。部屋の中央に倒れている若い女。死んでいる。
元のヘビ焼酎屋の前。
宮本「 しかし、何でわざわざハブなんだよ?」
俊介「 そりゃヤッパ、アオダイシォウあたりとは女のビビリ方が違う。・・・ハブに限るゼ!」
俊介、財布に現金二十万円あるのを確認し
「 じゃ、買ってくるわ。」
と店の方に歩いていく。
俊介のアパート(東京) 夜
やって来る俊介のスポーツカー。
俊介「(降りながら)あーあ・・・着いちゃた・・・」
バッグのチャックを緩め「 ここが僕のアパートだよーん・・・」
俊介、車を降りると、そこに、同じアパートの住人、栄子(21歳)がいる。
栄子「 おかえりーっ!」
栄子、ずっとご無沙汰だったのでエッチしたいという。
俊介「 え・・・今から?・・・帰ったばっかしだし・・・ま、いいか。」
栄子、俊介と一緒に階段を上がる。
俊介の部屋はアパートの三階。
栄子の様子は、どこと無くそわそわしている。気づかない俊介。
栄子「 換気扇止まってるみたいだけど・・・ヘビ止めたの?」
俊介「え?なんで?」
栄子「 だって、俊介の部屋の換気扇壊れかけていて、キーン・・なんちゃってうるさい音がアパート中に響いちゃってたじゃん。」
そのアパートは、全く同じ構造の建物が二棟向き合っている。
栄子は向かいのアパートの三階の住人で音が反響してよく響いてきてハッキリ言って超うるさかったといっている。
俊介「 とうとう壊れちゃったかなぁ・・・」
鍵を出す。
アパートの中
鍵の内側のカット。
ガチャ・・・施錠用のノブがクルッと半回転する。
ギー・・・ドアが開く。
俊介「 このドアもガタついてるもんなー・・」
栄子、俊介について部屋に入る。(ワンルーム)
俊介、部屋の電気をつける。
部屋の中央に若い女が倒れている。
俊介「 ゲッ!!」
紫色の顔。明らかに死んでいる。
栄子「(息が止まりそう)・・・しっ・・・死んでる・・・!わ、わたし・・私、関係ないから!!」
栄子、ダッシュで逃げていく。
極度にうろたえる俊介。
俊介「・・・し・・・死んでいる・・・!死んでるよ!・・・おいっ!・・・」
俊介、怖くて死体に近寄れない。
俊介「・・・ど・・ど、どうしたらいいんだ?・・・と、とにかく警察へ・・・」
脳裏に木戸の言葉が浮かぶ
「誰か、うっかり殺しちまったら、殺人罪に問われるぜ。死刑だぜ、きっと。」
俊介「・・・死・・・死刑・・・グエ・・・どうしたらいんだ?・・・」
死体の周りをぐるぐる回る。
俊介「 そ、そうだ・・・死体を窓から・・・」
アパートの向こうは大学の塀。
以下、全てうろたえる俊介の独白。
「 そうだ・・・え、栄子と一緒に死体を大学のどこかに・・・そして、は、ハブを逃がし・・・」
「・・・い、いや待て、え、栄子は・・・つ、使えない・・・う・・うろたえて関係ないとか・・・そ、それに、あいつの旦那にバレるとまずい・・・もうすぐ帰ってくるし・・・」
「 ど、どうしたらいいんだ?・・・そ、それに、こ・・・この女は誰なんだ・・・」
俊介、勇気を出して、女の顔を良く見る。
「・・・見たことあるような気が・・・いや、ない!・・・し、知らない・・・だ・誰なんだ・・・どうやって入ったんだ?・・・そ、そ、そうだ!・・・ド、泥棒だ・・・!そうに違いない・・・お、俺のせいじゃない。・・・ド、泥棒だ・・・!」
俊介、少し落ち着いてくる。
「 ド、泥棒が、勝手に入ってハブに・・・・」
ハッとする俊介。耳を澄ます。・・・恐る恐るベッドの方を見る。
ベッドの上にハブがトグロを巻いている。シャーっとか襲い掛かってくる。
すんでのところで避ける。ヘビと睨みあう。気が動転していてめまいがする。
ハブがまた飛び掛ってくる。掴み損ねる俊介。いつものようにいかない・・・必死・・・やっとのことで捕まえる。
風呂へ行き、ネットのふたを開けてヘビを投入する。
「・・・ぐ・・ふ・・・」
ゼーゼー息を切らす俊介。顔、真っ青。
「・・・す・・すぐ・・警察を呼ぶか・・・それとも・・・それとも・・・」
俊介、クラクラする。
同 俊介のアパート
宮本が来ている。
死んでる女の腕にハブに噛まれた痕があるのを確認している。
「 お前の話は信じられんな・・・旅行中はずっと一緒だったが、その前から女が部屋にいたとか・・・実は、合鍵が作ってあったとか・・悪いけど・・・」
「 本当なんだ!もう、死んでたんだよーっ!・・・この鍵は作ったところじゃなきゃ合鍵はつくれねぇって・・・メーカーが言ってた・・・調べりゃ分かるって!!」
「 じゃ、どっから入ったんだ?」
「 わかんねーよ・・・てか、まだ、誰にも見られてねーんだ・・・・一緒に死体運ぶの手伝ってくれー。・・・大学の・・・どこか、人のあんまり、来ないようなところに置くんだ。で、近くにヘビを放して置く・・・・実験室とかから逃げたヘビにかまれて死んだように見せるんだ・・・!」
宮本「 考えたな・・・」
宮本、独白。
こいつにしては出来すぎな気がする・・・これは、人のいい俺を利用する為の、初めから仕組まれた罠・・・殺人ではないのか?・・・
つまり・・・この死んだ女には、浴槽で、蛙でも飼っていると説明しておいて・・・安心させ・・・旅行の間は住んでいて良いとか言って・・・実はハブをベッドの下に・・・うーむ・・・
俊介、死体を持ち上げようとしている。
宮本「 触るなっ!!」
ビビる俊介。
宮本、俊介の目をじっと見る。
宮本「 ダメだ。・・・大学でハブなんてそう簡単に飼ったり逃げたりするものか!第一逃げてない物を逃げたなんて、誰も証言しない。・・・それに、お前は24時間換気扇をつけっぱなしだった。なぜ?すぐに足がつく。下水とか調べれば、ハブを買っていた痕跡なんてすぐ見つかる。」
俊介「じゃ・・・ど、ど、どうすれば・・・」
宮本、考える。
「 ワザと、そこのガラスを割り・・・部屋を散らかして・・お前の財布の中の有り金を全部、この女のポケットにねじ込むという手はある。」
「 それは?」
「 ン?待てよ、その前に・・この部屋、やけに綺麗だな・・・?物が綺麗に整理されすぎてる・・・」
「 ああ・・・それは栄子がやってくれるんだ。いつも・・・それで?」
「 うん。・・・女を泥棒に見せかける偽装工作だ。お前の部屋のベランダは・・・見ての通り、各種パラボラアンテナやスキー板やサーフボードが並んでいる。・・・どう見ても金持ちの部屋だ・・・空き巣に狙われても不思議はない。」
「 おおー!さ、さすが宮本!それ!それだぜ!・・・いや待て・・・そうすると、もうハブが飼えなくなる・・やだな・・・」
「 そういうこと言ってる場合じゃないだろうが。・・・しかし、この場合問題がある・・・偽装がばれると確実に殺人罪になる。・・・死刑もあるかもしれんぞ。」
固まる俊介。
宮本「 しかし、正直に警察に自首すれば・・・」
「 俺はやってない!宮本!お前まで疑うのか?俺が、帰ったとき、もう、こうなってたんだ!!」
「 警察は信じんぜ・・・俺が信じねぇくらいだから・・・何故、部屋があらされてないんだ?泥棒じゃなきゃこの女は何しに入ったんだ?何処の誰なんだ?・・・お前の女だろ?普通に見れば。」
俊介、思い出す。「そ、そうだ!証人がいる!!」
「 証人?誰?さっきはそんなこと言わなかったよな?」
「 いやぁ・・その・・女は・・その・・人妻なもんで・・・」
「・・・ふーん・・・まぁ、この際、浮気がばれるのは勘弁してもらおうか。・・・やはり、偽装工作作戦はヤバい。」
同 俊介の部屋
警察、刑事が来て、色々調べたりしている。
栄子も呼ばれている。栄子の亭主は山のような大男でドアのところから凄い目で俊介を睨んでいる。
刑事「 君達ね。嘘をつくと罪が重くなるよ。知ってるよね。・・・これだけの状況下で嘘をついたってはじまらないだろう・・・落ち着いて・・・正直に話すんだ。」
宮本「 ですから、今言ったようにどうせ、嘘をつくなら、ガラスを割ってですね・・・」
刑事「 今、私達を読んでから気がついてしまったと思ってるんだろう。」
宮本「 刑事さんこそ良く考えてくださいよ。この死体は死後2・3日は経ってるでしょう?・・・その間気がつなかったことを今気がつくわけないじゃないですか?」
刑事、チョッとつまる。
若い刑事「 とにかく君達は重要参考人だ。署まで来ていただく。」
宮本、独白。なんか、まずいぞ・・・署まで言ったら益々不利になってく気がする・・・
宮本「 これは何もかも不自然ですよ。だって、ハブを使って殺人をしようとしたら山とかに連れ出した方自然だし、俊介の経済力ならそれこそ沖縄にだって・・・」
若い刑事「衝動的殺人だったんだよ。」
宮本、つまる。
栄子「私は、関係ないですよね?」
刑事「いや。」
栄子「 え・・だって・・私は・・・」
刑事「 私の推理をハッキリ言おう。君達に諦めて本当のことを言ってもらうために・・・ええ・・まず、君達三人は人間関係のもつれからガイシャ殺人を計画した。・・・・まず、君(俊介)は、君(栄子)に鍵を渡し、旅行に出かける。次に君(栄子)は言葉巧みに・・例えば、この部屋は眺めがよくて快適だとか言ってだな・・・ガイシャを連れ込み、ヘビを使って殺害・・・その後、外へ出て鍵をかけて鍵を沖縄へ送る。・・・つまり、錠を変えて合鍵を作らなかったのは君(俊介)のアリバイ工作だな。・・・・どうかね?」
宮本「 じゃ、僕は?僕は何のためにここにいるんですか?」
刑事、つまる。
宮本「 刑事さん・・ちょっと、署へ行く前に問題を整理してみましょうよ・・・」
宮本の声にしたがって場面の説明。
先ず、一週間前に俊介と僕が沖縄へ出発。
今から二時間ほど前、アパートに俊介が帰ってくると栄子がそれを発見。一緒に部屋までくる。
次に死体を・・・そう、この時いつも、つけっ放しになっていた換気扇が止まっているのを発見。
次に俊介、鍵を取り出し、ドアを開ける。
中に入ると死体を発見。栄子はびっくりして遁走。
俊介は気が動転して、右往左往した挙句15分後に私に連絡。この間、ベッドの上にいるヘビを発見。ヘビを捕まえて風呂に戻す以外、部屋のものには一切手を触れていない。
20分後に私が到着。窓の施錠を確認。
更に5分後、警察へ連絡。
・・・
刑事「 極めて不自然だ。信じろという方に無理がある。・・・連れてけ。」
若い刑事、宮本に手をかける。
宮本「 チョッと待ってください。どこか・・・例えば、屋根裏とか・・・この部屋に外から入る方法があるかも・・・・」
若い刑事「屋根裏だと?アパートの屋根裏とは傑作だ。」
刑事「 いや、確かにアパートには屋根裏がある。」
刑事、風呂の方へ行く。
風呂の要り口にドアがひとつあるユニットバス。天井に四角い板。
宮本「 その板をあげて、隣の部屋と繋がってないか見てください。」
若い刑事「見え透いた時間稼ぎをしてなんになる?」
刑事「 ま、いいだろう・・・見てくれ。」
若い刑事、サーチライトで天井裏を入念にチェック。
若い刑事「隣の部屋との間は鉄板になっています。隙間はありません。第一ほこりが分厚くたまっていて、侵入の形跡はありません。」
刑事「(ため息をつく。)」
宮本、床板がどうかなってないか・・つまり侵入の後はないか調べる。続いて壁も。・・・この部屋に侵入した後は何処にもない。
刑事「 ま・・・なんと言うか・・・今、ここで自白してくれると・・裁判でも大変違ってくるんだが・・・」
宮本、独白。まずいぞ・・・マジで犯人にされちまう・・・
宮本を睨む若い刑事。
ため息をつく刑事「とにかく、これは明らかに自己ではなく殺人だ。なぜなら、ガイシャは噛まれた腕を縛ってない。ヘビに噛まれたら縛って毒が回るのを防ぐ・・・常識だ!それがしてないのは加害者がさせなかったからだ。」
一同・・・沈黙・・・。
黙っていた俊介が口を開く「僕なら、ハブに噛まれても縛らないですよ。」
刑事「 なに!?」
俊介「 ハブの毒っていうのはですね・・・実はそれほど早く回らないんですよ・・・縛っても意味ないです。救急車を呼べば助かります。絶対。」
宮本「 え?嘘!マジで?」
これには刑事達も一瞬驚く・・・が
刑事「 それならますます殺人事件じゃないか!ガイシャは救急車を呼ぶ時間があったのに呼べなかったんだから。」
宮本「 刑事さん。加害者はこんなこと言わないですよ・・・。」
再び沈黙。
このとき、太ったおばさんがやってくる。
俊介「 あ、大家さん・・」
大家「(死体を見て驚く) あっ・・・佐藤さんっ!!」
刑事「 ご存知ですか?」
大家「 ええ・・301の・・・この部屋の隣の住人さんです。」
宮本「隣?・・・隣だって?・・・待てよ・・隣・・隣・・・」
宮本、眉間を中指で叩きながら集中して考える。
刑事と、若い刑事、その様子を見て宮本は本当に事件に関係ないと思う。
二人、俊介や栄子の様子をジックリ見る。
宮本、ふっと目を開け、栄子を見る。
宮本に見られているのに気がつく栄子。目をそらす。栄子の様子、明らかにおかしい。
宮本、再び目を閉じて中指で眉間を叩く。
1ヶ月後
沖縄 海水浴客でにぎわう、とある有名ビーチ。
宮本「 しかし、どういうおやじだよ・・・あんな事件起こしたっていうのに、またぞろ息子に沖縄旅行を奢るなんて・・・」
俊介「 お前に奢ってくれたんだよ。」
宮本「 マジで泣いて喜んでたもんな・・・事件はもみつぶすし・・・・あーあ、俺もあんな親父がほしいよ。」
宮本、独白「 しかし、あそこで、ちょうど俺の考えがまとまったとき俊介の親父が来たのはラッキーだった。」
俊介の部屋
俊介の親父(政治家)警察署長と共に現れる。
親父「 な!何があったんだ!!」
宮本「事 故ですよ。俊介君の部屋に入ったお隣さんがハブに噛まれて亡くなったんです。」
佐藤さん(ガイシャの女性)の部屋。夜。
佐藤さんと栄子。レズった直後。
俊介の部屋から古くなった換気扇の回るいやなキリキリいう音がやかましく響いている。
佐藤さん「 うるっせーな!・・・もう!!」
宮本の声「 栄子が自供したので事件はその場で解決した。簡単なトリックだった。・・・その日、佐藤さんは俊介の部屋の換気扇の音に耐えかねて、ちょっとしたことを考えついた。」
なにやら栄子に説明している佐藤さん。
宮本の声「佐藤さんは俊介の旅行を利用して気づかれることなく換気扇を壊す方法を思いついた。」
アパートのベランダ。 真夜中。
佐藤さんベランダに出る。俊介の部屋との境に仕切り板がある。
佐藤さん、手すりを乗り越えて俊介の方のベランダへく。
手にした濡れ雑巾をガラスに当てて施錠のあたりを少し割り、錠を外す。
次に窓そのものを外す。
宮本の声「 たったこれだけ。」
栄子が佐藤さんの部屋の窓を外す。・・・ベランダ越しに佐藤さんの持ってる割れた窓と交換する。
宮本「 次の日にガラス屋さんを呼べば証拠は消える。もともと軽いいたずら気分だったんだ。」
俊介の部屋。
へ入ってくる佐藤さんと栄子。
佐藤さん、窓をの錠をかける
「 よし、作戦開始!!」
二人、小走りにドアへ直行する。
栄子、ロックノブを回転させて、解除する。
次に、ロックノブにテープを張る。
次にそっとドアを開け、外に出てドアを閉める。
手に持ったテープを引っ張る。
ドアの内側。
回転するロックノブ・・・・錠がかかる。
佐藤さん「(小声で) 成功よ。人に見られるといけないから、私の部屋で待ってて。」
宮本の声「換気扇を壊した後、密室にしようとしたんだ。」
佐藤さん「 さぁーて・・・」
先ず、換気扇のスイッチを切る。
次に換気扇のバスルームのドアを開けて、小さく悲鳴を上げる。
バスルームの中に例のごとく何か飼っているのを発見する。
そこに見えるのは、蛙。
佐藤さんはバスルームの天井のふたを開けて換気扇を破壊するのが目的だった。
しかし、その前に蛙を見て、ふと、いたずら心が起こったんだ。
佐藤さん、風呂にかぶせてあるネットを補強枠から外そうとして、上から強く抑える。
バクンとネットが外れた瞬間、ハブに腕を噛まれる。
青ざめ、うろたえる佐藤さん。
俊介の声「 蛙、20匹入れておいたからなぁ・・・」
宮本の声「 人の瞑想に勝手に入ってくるんじゃねぇよ。オイ。」
俊介「佐藤さん、落ち着いて、救急車呼べばよかったのにな。」
宮本の声「 佐藤さんはハブに噛まれたら、救急車を呼んでも間に合わないという先入観があったんだ・・・だから・・・解毒剤を探した。」
佐藤さん、恐怖と痛みで真っ青になりながら、震える手で、部屋中を探し回る。
宮本の声「 どうせ、狭いワンルームだから必ずすぐ見つかると思ったんだ。まぁ、頭がよかったんだろうな彼女は・・・お前と違って。・・・お前が馬鹿で、部屋に解毒剤をおいとかなかったせいで・・」
俊介の声「 おいおい。俺は、噛まれたら救急車を呼ぶつもりだったんだ。」
佐藤さん(押入れを探し終わったところ)
腕からどんどん流れる血。痛さと恐怖で真っ青になっている。
佐藤さん、狭いワンルームをこれ以上探しても無駄だとハッキリ分かってしまう。
宮本の声「 部屋があまりにも綺麗に最利されているせいで、ハッキリ過ぎるほどハッキリ分かっちゃったんだ。」
佐藤さん「 ない・・・どこにも・・・!」
その瞬間、倒れる。
ハブ焼酎屋さんの前
焼酎屋の親父「 ショック死じゃな。・・・何べんも言うようにハブに咬まれたら落ち着くことじゃ。・・・ほれ、毒牙、抜いといただ。」
親父は金を受け取ってほくほくしている。
「 あんたは、若いのに、口が堅くてしっかりしとるのぉ・・助かったで。」
礼を言って親父の下を去る二人。
車に乗り込む二人。
宮本「 しかし、一人死んだって言うのに、またハブなんてどういう神経してんだよ。元はといえば、お前がハブなんか飼って換気扇を回しっぱなしにしたからなんだぞ!」
俊介「 いや、もうハブはやらない。」
「 しっかり買ってるじゃねぇか!」
「・・・・」
宮本「 お前が今、何考えてるか当ててやろうか?」
俊介「 ん?」
宮本「 毒牙抜いたんだから・・・大丈夫だから、本当に女に噛み付かしてみようと思ってるだろう?」
俊介「 ウ!鋭い。」
宮本「 止めとけよ。毒がなくても、そんなことすれば、ショック死はありえるんだから・・・そしたら今度こそ死刑だぜ!」
俊介「 死刑っ!!・・・てか!ハハハ・・・・」
走り去る俊介のスポーツカー。
俊介の声「(悲しげに)・・・いっくらなんでも、もうハブなんか飼わないよ・・・焼酎にして・・・(ハイテンションで)無理やり女に飲ますのさ!!」
おわり